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怖がり


友達が学校に来なくなった。
心配して理由を聞くと隕石が落ちてくるのが怖いのだという。
意味がわからないので会って話そうと誘うと外に出たくないというので家を訪ねた。

「隕石男?」
「雨男の隕石版みたいなもん。僕が出歩く先で隕石が落ちてくるんだ。周りの建物が壊れるし周りの人も怪我するし危険で迷惑」
「前は普通に出歩いてたのに」
「自分でも半信半疑だったからね。最初は投石と思う程度の被害だったし、頻度もすごく低かった。でも最近自分のせいだとわかって、被害も洒落にならなくなってきてこれはまずいんじゃないかって」
「隕石が落ちるって結構すごいことでニュースになったりするんじゃないの? この辺でそんなニュース聞いたことないけど」
「本当だって!何度も怪我してるし証拠の隕石もあるよ」
ほら、と出してきた黒い小石は隕石っぽく見えなくもないがそのへんに落ちていそうでもあった。
小さな傷跡も見せてくれたが隕石にやられたと言われると信じきれない。

「ちょっとその辺を一緒に歩いてみよう。隕石が落ちるとこ見てみたい」
「だから危ないんだって! 軽く考えてると本当に死ぬよ。特に最近は謎のプレッシャーが高まってて引きこもることで地球を守っているんじゃないかという気さえする」
「死なない死なない。そんな根拠のない危機感で引きこもってるのはおかしいから。外に出て何もなければ大丈夫だってわかるでしょ」
押し問答の末、彼を家から引きずり出したときは夕方になっていた。
二人で見た夕焼けは美しく、茜色の空に巨大隕石の影が浮かんでいた。
彼を家から出した5分後に地球は壊滅した。

3/17/2024, 9:10:56 AM