「あぁ…私、秋って嫌いよ。」
隣に座るその人は、秋風で髪を揺らし、そう吐き捨てる。
「どうしてか分かるかしら。涼しいこともあれば昼は暑かったり…はっきりしないからよ。」
その人の瞳が動き、此方を捕らえる。
「貴方みたいに。」
その瞳が潤む。はっきりしない気候の中、その人は不安そうだった。
「そして…私みたいに、」
その人の性別は半分だ。女性でもあり、男性でもあるはっきりできない存在。
そして僕は…その人を愛してる。しかしその愛はなんだ、恋か、友情か。
「でも…でも、僕はここにいる。君が好きだ。一年中だってそばにいる。」
だから…気候になんて左右されないでくれ。
僕を見てくれ。
秋の涼しさと暑さが君を不安にさせるなら、
「だから…僕も秋を嫌うよ。君と。」
9/27/2022, 5:57:10 AM