君は泣かない。泣かないと思われていた。どんなに辛くても泣いた顔を見せたことなかったから。
だけど俺は知ってた。君が誰にも見られないところでひとりぼろぼろに泣いていたこと。いつからかその肩を慰める役を、俺に任せてくれるようになったこと。
「バーカ。お互い様だろ」
ぐずぐず鼻を啜りながら俺の隣で泣き顔を見せる君が言う。
「お前が泣く時は俺がいつも隣にいるんだから」
「…まぁそう」
涙の理由が別でも同じでも、涙を見せる時俺たちは互いの存在を必要としている。
まさに、病める時も健やかなる時も、だな…
▼涙の理由
10/10/2023, 11:00:42 PM