とわ

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鐘の音


教会の鐘が鳴らされ、雪景色に厳かに響き渡る。

ああ、今日はクリスマスか。
起きていくとリビングではクリスマスツリーが金色のライトを点滅させていた。

「あぁ、アレク。学校の後のキャンドルナイトには参加するね?」
「…うん、」

母は小綺麗な格好でピアスを着けながら、僕に選択肢を与えないような言い方をした。僕も口も開かずに返事をしてやったが、母はクリスマスソングを口ずさむ程度には何も気にしていないようだった。

大人しく制服に着替えて朝食を食べる。
付き合い始めた恋人は帰省中で隣の家に居るが、どうせまだ寝ている。すぐに返事が返ってくるわけではない今が良いと、チャットを開いて片手で入力する。

『今日17時から教会でキャンドルナイトだけど一緒に行く?』

2歳年上の晶は隣の家の幼馴染だ。今は彼は大学で寮暮らしだけど、今も親同士も仲が良い。
僕の片思いかと思われた恋は数年の時を経て通じ合っていたことが分かった、のがつい最近な訳、だけれど。

どちらの両親も、尊敬出来る、良い人間たちだと思う。
晶と僕の仲がずっと良いことも喜んでいる。
でも、実は付き合っていますとなったら、どうだろう。

思いがけず、スマホが通知を受けて震えた。
どきりとしながらも新着メッセージを開く。

『おはよ〜行く行く!家族に会えるの久々だから楽しみだわ』

僕が気にしていることなど一ミリも気にしていなさそうなメッセージについ笑い声が出た。

「まあ…なんとかなるか。」

そう思えるのは僕だけの問題ではないからだろう。
きっと良い夜になる。そんな予感を抱えて僕はシリアルの牛乳を飲み干した。


12/21/2023, 4:00:14 AM