NoName14

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少し背伸びしたかった
あの日、あの頃

茶葉の揺れる
小さなポットと砂時計が
テーブルの上に置かれて
少しソワソワした。

同い年の、友人と2人
歩き疲れた身体を休める為に
入ったカフェは
いつも行く場所とは違って
穏やかな雰囲気が、ゆるゆると
流れている。

友人は、ミルクティー
私は、レモンティーを選んだ。

砂時計の砂が落ち切って
カップに注ぐと ふわぁっと
紅茶の良い香りが漂って

ふわふわとした、紅茶とレモンの
香りと……
なんと、そこに紅茶初心者の私は
友人のミルクまで
注いでしまったのだ。

もちろん、ミルクは分離して
先ほどまでの雰囲気は、どこへやら。
なんじゃこりゃな、マヌケな紅茶。

今でも、紅茶を飲むと
あの日の気恥ずかしさが
思い出されたりするのだけれど

それも、また良い思い出。

「お題:紅茶の香り」

10/28/2023, 4:15:08 AM