『またね!』
卒業式が終わって、春休みももう少しで終わってしまうような時期になっていた。桜のつぼみは膨らんで、咲き始めようとしていた。
そんな頃、あなたと2人で遊園地に遊びに行った。4月から違う学校に通うあなたとは、これからしばらく会わなくなってしまうとわかっていた。だから、この恋もこれで最後にしようと思った。時間はどんどん過ぎ去って、気づけばもう夜だった。帰りの電車は、あなたの肩に私の体を預けて、あなたの他愛もない話を聞いていた。これが最後とは思いたくなかった。
「お前と会うのこれで最後だからなー」
「学園祭行くから会うよ」
「最後だからなーー」
「会いに行くってば」
「ね、車の免許取ったら教えてよ。俺をどっか連れてって」
会いたいのか、会いたくないのか。さっぱりわかんない。遅くなったけどホワイトデーのお返し、って言われてもらったお菓子はマカロン。意味は「あなたは特別な人」。
「──もうつくね」
やっぱり、最後にするには少しもったいない。あなたのその寂しそうな声は、私の勘違いではないと信じているから。
「そーだね」
「じゃあ、またね」
「うん、またね!」
あなたはそう言ってにっこり笑う。「じゃあね」でも「バイバイ」でもなく、「またね」って。私、やっぱりまだ終わりにしたくない。そう思いながら、軽やかに駅の階段を上っていった私。単純だな、って笑ってよ。
3/31/2025, 10:56:02 PM