オアシス
道行はどこまでもどこまでも、砂だらけ。日差しはかんかん照りで陰一つありゃしない。
だから、それは、干からびかけた頭をよぎったほんの出来心だった。
ちょっとしたオアシス代わりにでもなればいい、なんて。
「なぁ、学者先生。氷結魔法撃ってみてくれよ」
学者先生は訝しげにしながらも、俺の言葉に応じて呪文を紡いだ。
辺りに冷たい風が流れる。宙に生まれた氷の結晶に吹き付き、みるみる内に大きくなっていく。
そして、重くなった氷塊が砂の上に落ちると、ぱりぱりと霜が降りるような音と共に一面が凍っていくーー。
7/27/2025, 3:12:37 PM