「世界に一つだけ」
かっこいいものが好きなのは男。かわいいものが好きなのは女とはよく聞き慣れたもの。これを人間は「多様性」と呼ぶようになった。
私はかっこいいものも、かわいいものも好きだ。おそらく、全人類そうだと思う。かわいい猫もすきだし、かわいい絵もすきだし、かっこいい車もすきだし、かっこいい犬もすきだ。「多様性」という枠組みに収めてしまうから堅苦しいだけで、全てはただ、「あれもこれも好きだなあ、あれは嫌いだけど、まあ私にとってはどうでもいい」くらいの感受性で良いのだ。
だが、ここでひとつ断言しておこう。
私は、ただのんびり生きている中でこの感受性の豊かさと、許容範囲の広さに気付けたわけではない。これらは全て、「世界に一つだけ」の、彼のおかげなのだ。わたしは、彼の文字がふにゃふにゃなところが可愛くて好きで、彼がバイクに跨るかっこいいところが好きで、彼のかっこいい歩き方が好きで、けど彼の言葉の語尾が優しい、可愛らしい発音が好きで。かっこいい存在もかわいい存在も、どちらにせよ私は好きなままだということに気付けた。
では、私はこれで何を伝えたかったのだろう?
そうだな、確かに彼は「世界に一つだけ」でしかない。けれど、「世界に一つだけ」の彼には、可愛さやかっこよさには抑えられないほどの幾億個の素晴らしさがこもっている。「世界に一つだけ」のはずの彼がこんなにも眩しく見えるのは、かっこよさや可愛さを含めた、そのもっと奥深く、多様だなんて脆すぎる、彼への私の重い愛ということだろう。
9/10/2024, 8:23:31 AM