澄んだ水のようだと思った。
何も映さないはずのガラスの瞳は、とても瑞々しく安らかだった。
僕の作る人形は、どれも目が死んでいた。
それがいい、と周りは言う。
何も映さない。いや、映す気のない瞳こそが、僕の作る瞳の良さなのだと、誰もが口々に言った。
誰が言い出したのかも分からないけど、僕はそれが嫌で。でも、周りの評価を覆すだけの勇気もなくて。それこそ死んだ目で人形を作っていた。
そして僕が人形を作る人形になった頃。
たったひとつ出来上がった瞳は、とても瑞々しく、安らかに見えて。
ああ、これで僕は水のような瞳の人形を作れると。
残った片方の目で、それを満足げに眺めていた。
3/14/2023, 8:42:43 PM