緋衣草

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ココロオドル (10.9)



「今週日曜空いてる?じゃあ海王星行こう」
「ちょっと待って、空いてるなんて言ってないし海王星も行かない」
うそつき!暇だって言ってたくせにぃと膨れるどうしようもない幼馴染をシッシッと追い払う。
「あんたね、いくら片道5000円で行けるってたってまだまだ危険なんだよ?宇宙に放り出されて窒息死とかマジあり得ないから」
そんなの0.5%だよ〜と笑うから宝くじ当たるより確率高いっつーのとデコピンする。可愛い顔して恐ろしい子だ。
「太陽系の1番外側まで行ったら何が見えると思う?海王星の青と地球の青じゃどっちが綺麗かな?ねぇねぇ、ワクワクしないの?」
無視。
ワクワクに命は換えられません。
「しょうがないな。サプライズしたかったんだけど」
顰めた顔のまま振り返ると、幼馴染がにんまりとして口を開く。
嫌な予感。
「海王星ってダイヤモンドが降り注いでるんだって」
うわ、それは。なかなかちょっと、いや、かなり。
「行きたい」
「君はホント、わかりやすくって可愛いな」
また負けた。
私には、ぺろりと出された憎き舌を睨むことしかできないのだった。

10/9/2023, 12:36:05 PM