【さよならは言わないで】
夕日の差す帰り道。いつも決まった公園を通る。
そこで夕日の沈むのを眺めて再び帰路につくのが日課だった。
ある日、隣に綺麗な人が現れた。
静かに泣いていて、気になって声をかけてしまった。
それが僕たちの始まりでしたね。
毎日同じ時間にそこへ行き、二人で太陽の行く末を眺めて、話して。太陽がいなくなったら解散する。
いつしかそれが楽しみになって、毎日希望に照らされたような気持ちで過ごすようになっていました。
でも、そんな日々は長く続かなかった。
君は遠いところへ行くと、これが最後だと僕に言った。
ああ、悲しかったですよ。
だから礼と別れを告げようとする君に
「さよならは言わないで」なんてすがってしまった。
いつかまた会えると、そう信じていました。
それからずっとずっと後、親友の結婚式に呼ばれた。
二人の新たな門出を心から祝福しました。
ブーケトスで、新婦に思い切り投げられたブーケは少し離れた僕の方に飛んできてしまった。
慌てて近くにいた女性がキャッチしたようでした。
僕は避けきれなくてぶつかってしまった。
その女性は僕の顔を見て驚いた顔をした。
「ああ、君は_」
12/4/2024, 8:28:09 AM