詩のようなもの0031
ページをめくると
そこには私の書いた原稿があって
私が撮影に立ち会った写真があって
大きな記事だから
インタビューの名手だったから
連載を持っていたから
必ず私の名前があった
いつ書店に行っても
つまり月初でも月末でも
必ず自分の仕事の載った雑誌が買える
その場で作品を見せられるように
週刊誌と月刊誌と専門誌の編集部に
出入りした
そういうライターを目指して
そういうライターになった
当時、マスコミって憧れの業種だった
肩で風を切って
寝ないで頑張って
点と点が繋がると次々仕事が広がっていく
難しすぎる簡単すぎる資料を毎度もりもり読み込んで
隙間時間に学んで遊んで
取材もプライベートも出会いと別れのそのときめきと痛みこそを
ガチで味わって
そして原稿に向かう瞬間が大好きだった
雑誌に出てくるようなオフィス兼自宅
壁一面の書棚とリモワのスーツ
時計と靴と眼鏡にはお金をかけた
怖いものなんか何もなかった
ずっと幸せな天職が続くんだと思ってた
我が子を亡くすまでは
9/2/2025, 9:05:54 PM