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真っ暗な闇の中で、小さな炎が灯っている。

ユラユラと揺れる炎は、時に大きく、時に小さくなりながら、枯れ木にしがみついている。

まるで、消えてしまうことを恐れるかのように。

傍にあった僅かばかりの枯れ葉をくべて、そっと息を吹きかける。
新しい拠り所を得た炎は、踊るように燃え出し、一時の勢いを取り戻した。

炎からパチパチと音が響いている。

その音に耳を傾けつつ、懐から青い石を取り出す。

ハート型をしたクルミサイズの小さな石だ。

かつてその見た目から「青い心」と呼んでいたそれは、子供の頃、誰かから渡されたものだ。
「決して無くしてはいけないよ」と言ってくれたその人の顔は、覚えていない。
ただ、もらった言葉だけは鮮明で「無くしてはいけないのだ」と幼心に思っていた。

誰にも言わず、ずっと隠し持っていたのだが──保管の失敗と経年劣化により──元のサイズより小さくなってしまった。

炎に透かすと、小さな石は複雑な青い煌めきを返す。
キラキラとしたその輝きは、見惚れるほどの美しさだ。

この石には面白い特徴がある。
炎に入れると燃料になるばかりか、石自身も輝きを増し、決して燃え尽きることもない──不思議な石だ。

炎に入れると美しい光も放つので、昔はそれが見たくてよく行っていたが──最近はご無沙汰していた。

パチパチと音を響かせていた炎から、音が消えている。

枝を燃やし尽くし、僅かな葉に縋る炎は、風前の灯といった様子で喘いでいた。

今にも消えそうな小さな炎の上に、青い石を置いてみる。
すると、一瞬にして青い炎が煌々と燃え上がった。

予想外な眩しさに驚いていると、遠くの方から呼び声が聞こえた。

どうやら、青い炎の明かりが誰かの元に届いたらしい。

青い炎の前に立ち上がり、声がする方に向かって応答の声をあげた。

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心の灯火

9/2/2024, 2:59:58 PM