ねーま

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たそがれ

屋上に出て、夕方の風を浴びる。
前髪がなびく。少しおでこが広くなってしまったように感じる。随分と遠くまで来てしまったような感覚を少し感じた。
僕は、屋上のちょうど腰掛けやすいところに座り目を瞑る。息を鼻から大きく吸い込み、口から大きく吐く。
車の往来の音、街の喧騒、風の音、いろんな音を聞きつつ、現実世界から遠ざかる。
僕は世界から離れ、僕だけの世界に入り込む。
青空と湖と木々の緑が、僕の脳内に現れ僕はそこでまた一人、広い草原で目を瞑る。
とても安らかな気分だ。このままずっとこうしていたい。
だが、そんなわけにもいかず再び現実世界に戻る。

昔は、たそがれというと歩きながら色んなことを考えるというのが僕にとってのたそがれであったが、
今は、こうして何も考えずに目を瞑り大きく息を吸い、吐く。これが今の僕にとってのたそがれである。 
成長と呼んでいいのか、おっさんになったのか。
いずれにせよ、随分と遠くまで来てしまった感覚を少し感じる。

10/1/2023, 3:45:19 PM