名前の無い音

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『珈琲』


1分先も 1秒先も
何が起こるかなんて わからない

予知能力なんか いらないよ
先の事なんか わからなくていい

今 この瞬間を
君と生きてること
繋がっていられること
神様に 感謝しているよ

1秒後に もしかしたら
僕は 全てを失うことになるかもしれない
2分後に もしかしたら
君は 全てを失うことになるかもしれない

そうなる時の事を心配するよりも

今 この瞬間を
幸せに生きようじゃないか

何十年たって
君の隣に僕がいなくても
『あの時は幸せだったな』
って 思い出してもらえるような
そんな 今を作ろうじゃないか

君と 手を繋げる事が
君を 抱きしめられる事が
僕の 今と
僕の 未来を作っているんだ!

……………



……な~んて 言ったら
きっと 『クサイ!』って
一刀両断されるな

僕は
何にも考えていないような顔をしながら

隣でアイスティーを飲んでいる彼女を見る
それに気づいた彼女が顔をあげる

「なに?」
「いや 別に」
(やっぱり 君が好きなんだ)

僕は 照れ隠しにコーヒーを飲んだ

砂糖も入っていないのに
なぜだろう
甘い 甘い 味がした……

6/18/2022, 8:32:31 AM