「クリスマスかぁ…」
たくさんの喋り声の中で呟く。
色とりどりなプレゼント、イルミネーション。
そして、セールのお姉さんの元気な声……
少し通っただけだったが、
明るいムードに自然と足が速くなる。
少しして、暗い中一人しゃがみ込む。
「クリスマスのプレゼントをもって来たよ。」
今の俺の顔はどんなふうに見えているのだろうか。
…叶うのなら、ぜひ感想を聞かせて欲しい。
きっと、涙と鼻水まみれの顔をしている思うのだけれど。
「今年もね、たくさんの料理を作ったんだよ。」
「あと飾り付けも…頑張ってみたんだ。」
「それに未久の大好きなシチューもたくさん…」
あの日、鳴らされるはずだったベルの音は鳴らなかった。
もう二年はたっただろうか。
ここにくれば、ついてきてくれるんじゃないかなんて期待してしまう。
「こっちに恋。」
「……なーんて。」
「かっこいいだろ?この文字考えた方天才だと思わないか?」
携帯で目にした言葉に、自分なりの愛を込めて呟いてみた。
「愛にきて。」
「な〜んて返事をしてくれてもいいんだぞ?」
「………。」
返答がないのはわかっている。
「……っと、ちと寒くなったな、待っててな。
いつもの自販機でここあ買ってくるから。」
半年前だったら、しゃがみ続けてすぐ動かせないはずの足も3秒たたない内に、歩き出せるようになった。
「待ってるよ。」
背中から聞こえた声に驚く。
「ははっ、未久らしいや。」
滴る涙が暖かかった。
〜〜〜〜
去年の冬に、下書きのままだったお話(ベルの音のお題)
と、今回のお題を組み合わせて見ました!
お披露目できて嬉しいです。
(NN BOX より。)
4/26/2025, 10:03:45 AM