22時17分

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微熱の原因を探るため、身体中に手を当てていった。
お腹、胸、首、おでこ……。やはりおでこに当てると自身の熱の具合が分かる。

どうして分かるというのだろう。
それはおでこが冷たいからか。
あるいは、手の平全体が熱を持っているかのように熱いからか。

季節は秋から冬にかけて。
窓を開け、部屋の中の空気を入れ替える。
換気の風が、服の繊維を通り抜け、身体の表面を撫でた。冷たい風……。風邪を引いてさえいなければ、この風はもっと清々しく感じていたのだろうか。
身体に悪いと思っていても、風に当たる行為を止めようとは思わなかった。

同じ頃、向かい側の窓に、同様にして凍えるように小さな身体を震わせる子供がいた。
あの娘は不登校だろうかと近所の人は推測する。

玄関を扉を叩いてまで、外に出たくないのだ。
家の中にいすぎて、靴の履き方まで忘れかけているのかも知れない。
長い髪は雪崩に遭ったように散らばり、風に吹かれている。そして、引きこもりの娘は背を向け、窓際の暗い影へと消えようとした。

11/27/2024, 9:46:50 AM