小学6年生のときのある日の放課後
東校舎の階段掃除当番だった
わたしの班
3階から順に掃除して
1階にたどり着き
その間ずっとふざけていた
落ち着きのない男子2人がいたのだが
学級委員のもう1人の男子や
女子たちがずっと注意していた
にもかかわらず
調子にのった2人は
楽しそうに取っ組み合いながら
廊下の壁に激突
すると
壁にかかっていた消火器が
激しい音を立てて床に落ちたのだ
ぷしゅーっ、という音とともに
消火器の粉がでて廊下一面真っ白に
慌てふためく小学生6人
小学生たちは考えた
とりあえず、掃除しよう
途端に団結して
廊下を水拭きし始めた
ふざけていた男子も必死だ
…しかし健闘むなしく
拭いても拭いても白さはとれず
ついに先生に見つかってしまった
当たり前だ
5時まで掃除している小学生など
あやしすぎである
詳しい事情は明日聞くから、と
わたしたちは帰された
帰り道
学級委員の少年は真っ青だった
真面目な彼にとって
悪夢のような出来事だったに違いない
女子たちは励ました
悪いのはふざけていたあいつらだから
気にするな、と
少年は明日先生にどう言えば良いのかと
ますます青ざめていたのだった
次の日
朝の会の最中
先生が昨日の事情を話してもらうと言った
え?みんなの前で?
隣の席の学級委員の少年は
青くなっている
わたしは同情の眼差しをむけた
しかし先生は
わたしを指名したのだった
まさかの指名にびっくりしたが
とりあえず立ち上がって
説明せねばと
「じつは…」
と、言った途端
クラスのみんなと先生が爆笑した
なにがツボったのかわからないが
とりあえず
なごやかな雰囲気の中
この事件は収束したのだった
席につくと隣の席の少年は
ほっとした表情だった
こうして彼の長い悪夢の1日は
なぜかわたしが笑われて
終わったのだった
8/9/2025, 4:20:38 AM