ふたりぼっちになるために、ひとりで生まれてきたんだね。
生まれてすぐはお母さんと臍の緒でつながっているからひとりじゃないけど、そこから先は死ぬまでずっとひとりだと思っていた。
わたしたちは肉体に閉じ込められているから、雪が降ったときとも、桜の花びらをつかまえたときも、サイダーを飲んだときも、みんなおんなじことを感じているようで、実は少しずつ違うことを感じてるんだ。きっと、そう。
だから、いつも身体のどこかを冷たい風が吹き通っている気がしていた。
でも、変だね。
あなたと手をつないで、野原に寝っ転がって、空の一点を見つめてる。そうすると背中で地球が動いてるのが分かる。驚いて横を向いたら、あなたが笑っていた。
私たち、違うこと考えてるよね。でもお互いの目を見ることができるし、笑いあうことができるし、手をつないで体温を分かち合うことができる。
わたしたちきっといまふたりになってる。
ひとりがふたりに、同じところなんてきっとないけど、それでもふたりになってる。
だから、はじめてひとりになる生き物に生まれてよかったって思うんだ。
3/22/2026, 8:27:01 AM