アポロ123号!

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─胸の鼓動─

胸の鼓動。
それだけが君の存在を感じられる。

僕は君の姿を知らない。
世界の姿を知らない。
外の世界を知らない。
君に触れることもできない。
そんな僕を好きだと言ってくれる君。

小さな部屋の中が、僕のすべて。
何も知らない僕が、初めて好きになった人だった。

君の音が小さく、ゆっくりになっていく。
君は最期の力を振り絞って僕の元へ寄り添う。

やがて君の音は聞こえなくなった。
僕の頬に僅かな温もりを残して。

君の声が録音されたボイスメッセージ。
確かに、君の声が聞こえる。
でも、鼓動までは聞こえない。
聞こえるのは、機械からするモーターの無機質な音。

君は確かにそこにいるけど、ここには居ない。

それがとても、寂しくて。

9/8/2024, 10:36:00 AM