お皿に移し替えて温めたらそれなりに見えて、もうご飯すら炊く気力はなくとも冷凍ご飯を温めれば食べれる
私の愛しき電化製品は電子レンジです
発明ありがとう
あー、疲れたって向かう先はベッド
ごろんっていつもはやらない足元の方に頭をやって仰向けで寝る
逆さまになったリビングはなんて汚いんでしょう
食べた食器はそのまま、脱ぎ散らかした服はぐしゃぐしゃ、また、あそこに落ちていますのは今朝化粧の時に落ちたアイライナーですね、早くしまわないと明日絶対に探すでしょう、あそこにあるストッキングなんだ…?、今日履いたものじゃないぞ…いつからそこにいた…?
逆さまの世界に見えるのは私のズボラさ
仕事と家事の両立なんぞ何年経ってもきっと出来ない
出来る人は世の中にたくさんいるのにな…
私は出来が悪く生まれたんだな…ごめんよ、お母さん
「ただいま」
物思いに耽っていたら電子レンジとは違うベクトルで愛しい旦那様が帰ってきた
ヤバい、何もしてない…
絶対ビックリしてるよね…
その証拠にリビングに入ってきてから何も言葉を発していない
食べたままの食器、散らかった服やら何やら
寝室を覗けば逆さまの奥様
世の旦那様方、こんな奥様でも愛せますか…?
もうなんで片付けておかなかったんだ!
帰ってくるのわかってたのに!
あー申し訳ない…
顔を覆って後悔していたらギシッとベッドが軋む音がして隣に同じように寝転んだ旦那様
「これ、楽しいの?」
真面目な顔して聞いてくる
「うーん…楽しくはない、あと頭に血が昇りそう」
じゃあ、やめなよって楽しそうに笑ってくれる
お?お?いい男じゃないか
出来損ないの私に怒りもせず、同じ目線で楽しんでくれる
拝啓、お母様、あなたの娘、男を見る目はありました
ありがとう
なんかこういうのいいなって、こういう夫婦っていいなって
温かい気持ちになってたら私の愛しい旦那様は一言仰ったのです
「あのストッキングいつからあるの?」
…それは私にもわかりません
12/6/2024, 11:05:47 AM