喜村

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 冬場は窓ガラスに結露のためか、やけに水滴がついていたはずなのに、最近はその雫も見なくなった。
 春から夏場は梅雨の時期も重なり、傘から滴る雨粒を鬱陶しく憎たらしく、その雫を見ていた。
 気がつけば夏も終わり秋、朝露なんて言葉がある白露や寒露の時期になっていた。

 窓ガラスについた雫も、傘から落ちる雫も、草花に降りた雫も、同じ水滴なのにそれぞれの味がある。

 今、頬を伝ったこの雫、これにはどんな味があるだろう。


【雫】

4/21/2023, 12:05:07 PM