Day.45_『行かないでと、願ったのに』
行ってしまった。
「なんで……なんで行っちゃうの……!」
涙が溢れる。
「なんで……置いていくの……」
立ち尽くしたまま、去っていった車を見つめ、呟く。
それしか、できなかった。
「待ってて」と、言ったはずなのに。
私なんか、要らないんだと、そう思った。
数分後、戻ってきた母が慌てて駆け寄ってきた。
「ごめん!車に乗ってるものばかり……」
腰を下ろし、私と視線を合わせて、謝る母。
「車から降りてるなら、そう言ってよ!」
「言ったもん!『待ってて』って!」
泣きながら訴える。
母は、「ごめん」と言いながら、私を抱きしめた。
朝のコンビニでの出来事。
かなり昔の、幼少期のトラウマ的な思い出のひとつ。
それから母は、私のことを気にかけるようになった。
11/3/2025, 2:18:42 PM