ほろ

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「先生には水色が似合うと思う」
「えー、そうかなぁ。私的にはあの先生、黄色だと思うなぁ」
元カノがゆったりと話す。ピンクのグロスと派手なネイル。今考えれば、俺には合わない派手な人。

どちらから告白して、どちらからフッたのかはもう忘れてしまったけど、お互い他に好きな人ができたということだけは事実だった。たまたま街中で会って、たまたま好きな人へのプレゼントをお互い探していたものだから、今は流れで一緒にいるけども。
「ていうかさぁ、あの先生ってブレスレット付けてくれんの?」
ピンクと赤のブレスレットを手に取る元カノ。俺のプレゼント探しには興味がなくなったらしい。
「付けさせるから問題ない」
「うっわ、おも。私そーゆーの無理ー」
「嘘つき。知ってるんだからな、バイト先の後輩とクリスマスデートしたこと」
色とりどりのブレスレットをいじっていた手が、ピタリと止まる。
「なんで知ってんの」
「企業秘密」
「プレゼント、これにしたら」
ム、と口を結ぶ。差し出されたのは、黒のブレスレットだった。
「数珠じゃないんだから」
「それよりさぁ、私のプレゼント探し手伝ってよ。アンクレットにするから」
「重いのはどっちなんだか」
うっさい。ふん、と俺に背を向けて、店の奥にある色とりどりのアンクレット売場へ向かう元カノ。
別れて正解だったな、と黄色のブレスレットを手に取って背中を追いかけた。

1/8/2024, 1:49:46 PM