―君からのLINE―
やることはあるのに、やる気がないので暇だ。
そんな時に、机に放りっぱなしにしていたケータイが
着信音を鳴らして、震えた。
のそのそと手を伸ばし、ケータイの画面を顔に向ける。
画面が明るくなり、ロック画面が映し出されたその瞬間、
喜びが血と共に全身を駆け巡ったような気がした。
指の先まで興奮に震えた。
いそいそと通知元のアプリを開く。
ロック画面の告知通り――君からのLINEが1件。
トーク画面に移り、メッセージを読む。
ねぇね!見てる?虹が出てるよ!!
│
虹?
│
うん、ものすっごくキレイ!!
│
どこ?ここからは見えないのかな?
│
んーとね、学校近くのサイクルショップの方!
見えると思うよ!!
│
じゃあ南東の方かな?
│
うーん、多分
│
あ、見えた!!
すごい!キレイだね!
│
でしょ?
│
虹で思い出した
そういえば、虹の端っこに行くと、願いが叶うらしいよ
│
え、そうなの?知らなかった!
私ね、実は叶えたい願いがあるんだ!
だから行ってみようよ!虹の端っこ!!
│
え、でも、所詮都市伝説だよ?
│
でも、いいの!都市伝説だって確信するためにも、行きたい!
│
わかった
じゃあ、虹の端っこで集合しよう、
そして2人で願いを叶えよう
│
うん、わかった!着いたら電話するから、そっちも連絡してね!
可愛いキャラクターと吹き出しに書かれた
りょうかい!!という文字のスタンプを送り、
一旦会話を終わらせた。
君からのLINE、
君にとっては何気なく、
僕にとっては今日という色のない絵に
華やかで鮮やかな色をつけてくれた虹を知らせるLINE。
僕にとっては何気なく、
君にとっては願いを叶えに行くきっかけになった
虹についての都市伝説のLINE。
その2つがあってこそ、今日、僕は君に会える。
考えただけでもワクワクする。
鼻歌交じりで、踊るように扉まで歩く。
ぶっちゃけ、虹の端に辿り着けるとは思ってない。
歩き回って疲れた君が、電話をかけてきて、待ち合わせ場所を
変えて、会って喋って終わり…そんなとこだろう。
でも、今ふと思い出したが、虹の出た方向、南東は、
風水的に、結婚、出会い、恋愛の場所だ。
もしかしたら…という希望も、
まだ捨てずにちゃんともっている。
もし君に虹の端でも会うことが出来て、
もし都市伝説が本当で、願いが叶ったら…なんて。
さて、君を待たせないように、もうそろそろ出かけないとね。
僕の願い事→いつまでも君が笑顔で居れますように
君の願い事→あなたともっと仲良くなれますように
9/15/2022, 2:07:19 PM