「もしもし、未来から来た私ですが」
お湯を入れて3分、みんな大好き日清カップ麺を今まさにあつあつの湯気立ち昇る中醤油の香ばしい香りと共に一口目の麺をずずずっとかき込もうとしたその時、テーブルに時空の歪みみたいな円形の穴がずももと現れてちょっと老け顔のでも確かに私の顔をした謎のおばさんが現れた場合、一般常識であれば年上に話しかけられたら何の作業をしていても必ず手を止めてその人の方へ向き直り傾聴するのが正しいとは分かってはいるが、朝から何も食べていないまま大学の一限目のクラスを受講し空腹でへろへろになりつつでも節約のためにひとり暮らしのアパートへ帰ってきてやっとありつけた午後2時の昼飯の方を優先してもバチは当たらないだろうと大口で熱々の麺をずずずうっとダイソン掃除機にも劣らない吸引力で吸い上げる。
「ちょっと! もっと驚きなさいよ」
「ふぐふぐ」
美味しい。私やっぱりカップ麺は醤油味が好き。
おばさんになった未来の私は不服そうである。
「ねえ、こうしていられるの1分しかないんだからちゃんと私の話を聞きなさいよ、まず3年後にあなたは……」
「うももお」
この喉越し。チープな油の味。ころころした謎肉を噛み締める。うまい。たまらん。
「……うまそうに食べるね」
「んふー!」
「……もういいや、ゆっくり食べなよ。年取るとカップ麺食べられなくなるから、今のうちに味わっておいて」
そりゃ、言われなくても。
美味しいんだもん。
未来の私は呆れた様子で、でもちょっと笑って、時空の円形の穴の中へ帰っていった。
ある日の穏やかな春の午後だった。
【お題:もしも未来が見れるなら】
4/19/2026, 1:56:18 PM