●涙の跡●
「カーテン」から少し経って…
あの日のことは覚えていない、けれどあいつが
次の日も、その次の日も学校に来なかったことは覚えてる
暇だからと屋上を覗いた、特に理由はない
ここんとこあいつがいなくて補習すら受けてない
そこには上を眺めるあいつがいた、車椅子に乗っている
屋上車椅子で来れるのか?と思いつつ、眺める
お、あいつが俺に気づいたようでこちらを振り向く
振り返ったあいつの目には涙があった
ちょっとばかし驚いた、そんなに怪我が痛かったのか?
そんな言葉しかでなかった
あいつが車椅子から降りた、よろよろと柵につかまり
よじ登ろうとしていた、そしたらいきなり
「ごめん、ちょっと手伝ってくれないか」
顔が涙でぐちゃぐちゃの顔で言ってきた
俺はわけがわからずに手伝った
うしろ姿からわかる気がした、こいつは何かする
考えたくもないけども、やろうとしてることがわかる
「ありがとう、このこと先生達には内緒にしてくれ」
そう言ってあいつはバランスを自ら崩した
あいつの手をとった俺とともに
何故か楽だった
楽だと感じた、気がした
最後に見たあいつの顔は
涙の跡のある
くしゃくしゃの笑顔だった。
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こちら「カーテン」の後日譚となっております。
見ていただけると嬉しいです。
7/27/2025, 9:13:02 AM