裏表のないカメレオン

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 これまで目にしてきた積雪量を合わせてみても、これほどのゲレンデはつくれまい。
 さきほどレンタルした鎧のようなスノボウェアにがっしり身を包まれ、僕らは踏みなれない深雪に足をとられていた。
「めっちゃあるやん!」
 長屋に遅れをとりながらも、ようやくの思いでたどり着いた場所には、ずらりとカラフルなボードが列をなしていた。
「裏に番号あるから」
 すこしの疲労が、興奮が長屋の白い息に混じっていた。

1/7/2024, 11:48:31 AM