お前のために眠りました

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空の色が映り込んで真っ赤に瞬く水面を、あのお方はじいっと見つめていた。
逢魔が時、沈みかけて真っ赤にそらが染まるそのいっとき、あのお方は穴を掘るおれを横目にそれをずうっと眺めていた。
おれが「せんせい……ひとりじゃ日が暮れてしまいます せんせい……」と枯れた醜い声であのお方を呼んでも、あのお方はそんなものはまったく聞こえないという様子でただゆらゆらと浜辺を揺れておりました。
そうしておれがようやっと穴を掘り終え、かつて人だったものを運び、そしてそこに砂の布団をすっかりかぶせ終えた時、あのお方はようやく言うのです。
「ね、はやくかえろ わたし、おなかすいちゃった…… おにく、たべたい」
おれにあんなことをさせたあとで、よくそんなことを言える…… そう思いませんか ねえ、あなた……

お題「夕日が沈むころ」 おまねむ

4/7/2026, 1:56:46 PM