慈悲の眼差し
とある有名な殺人鬼が居た。
夜間に行動が盛んになると言われていて、両親や祖父母には絶対に夜中外に出るな、と言われていた。
そんな時に私は殺人鬼に出会ってしまった。
「あ…」
普通に歩いている所を見かけてしまって、目が合ってしまったのだ。
私はその場から動く事が出来なくなってしまって、歩行者が居ても、助けてくれる人は居なかった。
目で助けを呼んでも見て見ぬふりだった。
「絶対に見ちゃ駄目よっ…、!!」
近くからそんな声が聞こえてくるのだ。
そして、私の頭上には血濡れたシャベルを振り上げた大きな影。
殺人鬼は慈悲の眼差しを私に向けながら、シャベルを下に思いっきり振り下げ、私の頭に当たった。
鈍い音とあの殺人鬼の慈悲の眼差しは私の頭に残っていたんだ。
「殺人鬼にもきっとココロがあったはずよ。何処かで道を間違えてしまったんだろうね。」
その言葉が私の頭に浮かんだ瞬間、私の生涯は閉ざされたのだろう。
8/18/2024, 11:34:50 AM