あまり

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赤口の細い月光が
眠りに落ちた家々の窓辺にとまり
安らかな頬を微かに照らす

霜の付いた瓦礫の間にも
人々は眠り
あるいは眠らず
凍るまいと
凍てついた歩を進める
死神の鎌の形をした月が
ひたり とその首筋を照らし
身を隠すように
夜を彷徨う足音は
明かりの灯らない
窓を軋ませている

やがて東の空が白み始めると
月はその面をあげ
冷え切った大気に溶けるように
姿を消していった

ひとまずは
この夜を越えた小さな命たちに
また朝がやってくる


『小さな命』

2/25/2023, 3:55:34 AM