レラ

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 俺には幼馴染がいる。泣き虫でとても心優しい男だ。高校1年生のある日、いつもの様に一緒に帰っていると、後ろから飲酒運転のトラックがぶつかってきた。俺は咄嗟に幼馴染を突き飛ばした。結果、俺だけが轢かれた。遠のく意識の中、幼馴染の泣き叫ぶ声が聞こえる。俺は命が途切れる事を悟り、意識を失った。そして、ふと気づくと身体が浮かんで周りには俺の事が見えなくなっていた。きっと幽霊というやつだろうか。
 幼馴染は俺が轢かれた時に必死に声を掛けてくれた。でも、その声は俺の身体には届かない。すぐに救急車に運ばれたが、案の定亡くなっていた。幼馴染はその後、四六時中泣いてくれた。そして、自分自身の事を相当追い込んでいる様子だ。俺はそんなつもりで助けた訳じゃないが、確かに、幼馴染の性格を考えれば、分かることだ。だか、あの時の俺は後先考える前に身体が動いてしまっていた。それに、そうなる事を分かっていても、俺はきっと幼馴染を助けていただろう。
 そして、俺が亡くなって一年が経った時のこと、俺はいまだに成仏出来ずにいた。それは、まだ幼馴染が俺の事を引きずっているからだ。いつまでも、自分のせいだと嘆いてる声が聞こえてくる。俺の事なんてもう、心の片隅にでも置いてくれれば良いのに、いつまでも悔やみ続ける。そんな幼馴染を観てるのが流石に辛くなってきた。そして、俺はある方法を思いついた。
 昔聞いた事がある。死んだ人が夢に出て来るというもの、実際に出来るか分からない、それに、これが吉と出るか凶と出るかも分からないが、少しでも前向きになってくれる可能性があるなら、俺は試してみたいと思った。そして、幼馴染が眠りにつく頃、俺は枕元に立って必死に頭の中で念じた。すると不思議な空間に身体が移動する。そこは、薄暗く闇に包まれていた。まるで、幼馴染の心の中を映してるようだった。しばらく歩いてみると、幼馴染が膝をついてひたすらに謝っていた。「ごめん、ごめん、俺のせいで、俺が死んでいれば、、」と、俺はそんな幼馴染に声を掛ける。すると、目を丸くして俺の方を見る。「もう、悔やまないでくれ、お前に前を向いて生きてほしい」と真っ直ぐに伝えた。すると、幼馴染は号泣しながら「君にこんな事言わせてごめん、でも、努力してみる」と言った。そして、加えて「夢で会えて良かった」と話す。最後に見えたその顔はどこかいつもより穏やかなように見えた。
 それから、幼馴染は少しは前に向いたように感じる。そして、俺の墓の前で「僕、ちゃんと前を向くから、もう心配しないでね」と一言伝えてくれた。その言葉を聞くと、俺の身体は形を留めなくなってきた。きっとこれが成仏ってやつなんだろう。俺は最後に幼馴染に一言伝える。「時々は心の片隅で思い出してくれよ」と、きっと聞こえてはないだろうが、幼馴染の心に届く事を信じて。

12/18/2025, 3:35:31 PM