年に2回の小さな美術展。
場所:祖父母宅
期間:私が祖父母宅に着いてから次の日まで
箪笥の中のお着物の総入れ替え。
いつもは箪笥の中で眠っているお着物も、この日ばかりは例外なく畳に引っ張り出す。
その中から祖母が選んだいくつかを衣桁に掛けるのが私の仕事。
広げられたお着物は絵画のように見える。
素敵なお花がたくさん咲いているもの、
どこかの風景が描かれているもの、
一色に染められているけど生地そのものに模様が施されているもの、
いろんな太さや色の糸で織られているもの、
さらさらのものや、つるつるのもの、ざらざらのもの、
全部に個性があって面白い。
衣桁の周りをぐるぐるしながら絵画ならぬお着物を鑑賞する私に、大人たちは「絵画じゃないよ、着るものだよ」「職人さんが絵を描いたんだよ」「職人さんが糸を並べながら織ったんだよ」「これはここぞという時に着るものだよ」「こっちはあったかいお着物なんだよ」「これは涼しいお着物なんだよ」…、いろいろ教えてくれた。
お着物はその名の通り着るもの。絵画じゃない。
でも職人さんの“手”によって創られたもの。
やっぱり絵画みたい。
絵画を纏えるなんて素敵。とってもおしゃれ。
そろそろ あったかいお着物を着たいな。
次のお休みの日に、小さな美術展をしよう。
──────“衣がえ”
10/22/2024, 12:32:19 PM