俺の恋人は仕事が出来て、イケメンで、誰にでも優しくて、でもおっちょこちょいで。誰からにも愛される人だ。
一方で俺は不器用でかっこよくもない。人付き合いも悪い…。
だから、彼を遠くから眺めておくだけで十分だった。自分とは不釣り合いだと思っていたから。
でも、告白してきたのは翔くん、あんたからだった。高2のとき…そうそう、放課後に誰もいない教室で…まるで漫画みたいなシチュエーションだったなあ。告白の言葉は…
「あの、さ」
「な…なに?急にどうしたの」
「俺、あなたが好き」
その瞬間、時が止まったような気がした。真っ直ぐな瞳で見つめられ、冗談なんかじゃない、本気なんだって分かった。
「………」
「え…ちょ、え?おーい??」
衝撃過ぎてずっと黙っていたら、焦っているのかずっと言葉をかけてくる。
「…お、れも好き…」
そう言ったら一瞬驚いたけど安心したのかほほ笑んで
「良かった。こんな俺でもいいなんて…これからよろしくね」
背中に手がまわり、ふわっと抱き寄せられた。
爽やかないい匂いが鼻腔をくすぐる。落ち着く。自分も恐る恐る背に手を伸ばした。
それにしても、何故俺のことが好きになったのか…魅力なんてどこにあるのだろう。疑問に思い、抱きしめられたまま聞いてみた。
「ねぇ…俺のどこが好きなの」
「え?全部だよ。ふにゃっと笑う可愛い顔、考えるときに唇を噛む癖があるところ、授業中なんて関係なくよだれ垂らしながら寝ちゃうところ…ずっと目で追いかけてた」
そんなに見られてたなんて、全然気づかなかった。
好きな人に言われると、恥ずかしすぎて顔が熱くなってしまう。よかった。顔が見られていなくて…。
「そ、そっか」
「ふふ、うん。大好きだよ」
昔のことを思い出していたら、恋人は目の前でコーヒーを飲みながら「なんか良いことでもあった?」なんて聞いてきた。
「んふふ…どうだろうね」
「えーなになに?教えてよ」
「秘密ー」
そう言うと、眉毛を八の字にして笑った。
この幸せがずっと続けばいいな
9/28/2025, 1:17:37 PM