『夜の海』
月が煌めく
波がざわめく
星がまたたく
きらきらと
夜の海を前にすると
なぜだか 素直になれる気がする
闇の中で 月と星の光、波の光と音だけが存在する
自然と 私はわたしと向き合うことになる
太古の昔 わたしの祖先の生命は
この海から 始まったらしい
だからなのだろうか
波の音には 懐かしさとは また違う
とても 居心地の良さを感じる
暗闇のもと、白い光と静寂の中で
私はわたしをそっとみつめる
なにが正しい人生なの
なにが幸せな人生なの
カタログの中にある幸せばかりを追い求めて
自分がなにを欲しているのか
どんどん わからなくなるばかり
人に答えを求めてばかり
人に答えはこれだよ、と言われなければ
動けない
仮に答えをもらったら
本当に幸せになれるのだろうか
なにが幸せかわからぬまま
カタログのページを めくっては
私には 手に入らないと嘆き 悲しみ
時に 怒りさえ感じる
でも 違うよ
カタログに固執してるのは
私自身なんだ
カタログを捨てる自由もあるんだよ
カタログの中にはない“なにか”も あるんだよ
夜の海を目の前にしていると
カタログ熱が冷めていく
吸い込まれそうな暗闇と
そっとやさしく
見守ってくれているような 光があるだけ
どんな生命も 最後はここに戻ってくる
そんな気がする
8/16/2024, 8:30:53 AM