【君が見た景色】
「今度、花火を見に行きませんか。」
中学の夏。遠出好きな君が、そう誘ってくれた。
「毎年家族と行くんだ。きれいだよ。」
そう言っていた花火大会。是が非でも行きたかった。
でも、親に言ってもいいかと聞くと、遠いからだめだと言われた。
しょんぼりしながら謝ると、君は怒った。
「約束したじゃないか」「僕より親を優先するんだ」
「学生でごめん。」
未熟でごめん。
私はそう言うしか無かった。
青い果実が熟れるまでまってほしかった。
もしくは、青い果実でも、おいしそうに食べてほしかった。
この気持ちすら未熟なんだと知って、
いっそ君になりたいと思った。
8/14/2025, 10:54:41 AM