Ponnu

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途中書きです。すみません。

ちょっと書き進めました!
でも、まだタイトル回収しにいかないと。
ゴールまで思ったより遠い…
最初からゴール見えてはいるんだけど、距離感はわからないんだよね〜

「新年」

「良いお年を」で新年の挨拶をしてしまったので、今日はテーマに関係あるような、ないようなお話を書こうと思います。


『調子乗ってなんぼ』

「テスト何点だった?」
「100点だったよ」
「えっ、すごい!頭いいんだね」

「テストどうだった?」
「満点」
「天才じゃん、さすが!」

テストで良い点を取ると友だちに褒められる。
友だちは賢い私を自慢に思ってくれている。
最初は良かったのだ。

「98点だった。1問間違い」
「十分すごいじゃん。私なんて75点」
「今回のテスト難しかったもんね」

「今回全然できなかった。92点」
「…ソウナンダ。オメデトウ」
「大丈夫?体調悪そうだよ」

本当に気づいていなかったのだ。
彼女が自身の解答用紙をくしゃくしゃに握りしめていたことを。

「テスト久しぶりに100点だった」
「ほーんとだ、すっごーい」
「ありがとう。今回は頑張ったんだ」

ある日、上靴が濡れていた。
驚いたけど、昨夜は夜通し雨が降っていたから誰かに蹴飛ばされて外に行っちゃった上靴を優しい誰かが下駄箱に戻してくれたのかな、と思った。
友だちに上靴が濡れていたことを伝えると一緒に職員室にスリッパを借りに行き、上靴を乾かしてくれた。

また、ある日今度は靴が濡れていた。
ちょっと変だな、と思って担任の先生に伝えたが、担任の先生には気のせいだろうと言われ、仕方がなく上靴で帰ると母がそれに気づき、何かあったのかと聞いた。
事の次第を話していくにつれ、母の表情が険しくなり、私は何かいけないことをしでかしたんじゃないかと怖くなって泣き出した。
母は「怖かったね、よく話してくれたね。もう大丈夫だよ」と言っていつまでも背中を擦ってくれた。


「このクラスでクラスメイトの1人の靴が2度濡れている、という話が保護者の方から来ました」

あれ?それ、私では?
1度目は友だちに相談したからか、クラスの中でも知っている人がちらほらいるようで、教室内が少しざわつき、こちらを見る人もいた。

「何か知っていることがあれば教えてください」


その場所を通りかかったのはたまたまだった。
普段はあまり行かない特別室。
その奥に理科室があって、放課後に理科委員の仕事で備品の整理をするのだ。

「ほんと、あいつ調子乗ってるよね」
よく知った声がすぐ近くから聞こえる。
私はゆっくりと特別室に近づいた。

点数自慢ですかー?
勉強以外なんにもできないくせに。
ブスだよねー、あいつ。
いるだけで目障り。
ほんとにそれな。
うざすぎる。
死ねばいいのにね。


気づいたら知らない場所にいた。
ははっ、と乾いた笑いが漏れる。

私の両親はテストの点数ではなく、テスト前の勉強、テスト後の復習をしっかりやったかどうかを重視していて、テストの点数が高くても誰も褒めてくれない。
だからこそ、褒めてくれる環境が新鮮で嬉しかった。

調子に乗ってるつもりは全くなかった。
その友だちから見たら私の点数が良くても、私から見たら悪くて悔しがっているのを分かってもらえず自慢したように思われてしまっただけで。


さっきの声。
姿を確認したわけじゃないけど、私は分かってしまった。
私のこと嫌いだったなんて全然気づかなかったな。
私、ブスだったのか。
目障り、うざいは意味がよくわからないけど、いい意味じゃないことくらいは察せられる。
死んだほうがいいのかな?
私がいない方がみんなは幸せなのかな。


あれから数日経ったが、進展はない。
「ちょっといいですか?」
担任の先生に呼ばれて行った場所は相談室だった。

「靴を濡らした、と自己申告がありました。その子は友だちに誘われて靴を濡らすのを手伝ったそうです。友だちが泣いていて可哀想だったからやった、と言っていました」
「…1人じゃないんですか?」
「その子の言うもう1人に確認をとったら、謝りたいと言っていました」
「その2人と話をさせてください」


扉に手を掛け、開けようとした。
手の震えに気づいて唇を噛む。
大丈夫、ちゃんと向き合おう。

「ごめんなさい」
この前の特別室の声と先生からの情報でかなり絞られていたけど、やっぱりその2人だと分かるとショックが大きかった。
わざと大きく息を吸う。
「何が、ごめんなさいなの?」
「それは…」と私の友だちは口籠る。
代わりに私の友だちを手伝った子が「靴を濡らしたこと」と答えた。

「どうしてあんなことしたの?」
「いよちゃんが悲しんでたから。一緒にやってくれたら心強いって言われた」
「2度目はわざとじゃなくて、確かに最初は靴を濡らそうと思っていたけど、1度目の反応を見てもう十分かなって思って。でも、まきが蛇口の捻る方向を間違えちゃって。2度目はほんとにわざとじゃないの!」
「1度目はわざとってこと?」
「わざとっていうか、私はただ少し気づいてほしかっただけ。本当にごめん。お願いだから親には言わないで。私たち友だちでしょ?」


なんかどっと疲れた。
家に帰っても、ちゃんと笑えるかな。
いつも通りの私でいられるかな。
母に話してから、家族に必要以上に気遣われるようになった。
私のことを大切にしてくれるのは分かってるし、ありがたいと思っているけど、その気遣いが逆に息苦しかった。


「今日、学校行くよ。準備して」
土日の朝、起床時間の遅い母がテキパキと準備していた。
「今日、土曜日だけど」
「靴を濡らした子とその友達、それぞれの両親。あと私たちと学校の先生たちで話し合いよ」


土曜日の学校は閑散としていて普段とはだいぶ雰囲気が違っていた。
せっかく天気が良いのに心が晴れない。
確かに、今回のことはまだもやもやしてる。
でも、もう考えるの疲れた。
他人を疑うのも嫌うのもしんどい。
私にそんな余裕は残ってないよ。


1/2/2025, 2:20:59 AM