#キャンドル
マグカップを両手で包みこみ、甘い煙がぽかぽかのぼってゆくのを眺める。
目線を下に向けると膝の上で愛猫がゴロゴロと喉を鳴らしている。愛おしくて、私は思わずそのふくふくの愛猫の顔に手をうずめた。この子は元々野良猫で、ある日うっかりうちに迷い込んで来た。誰かの飼い猫という訳でもなかったので、晴れてうちの子となったのである。
愛猫は撫でられているうちにとろとろと溶け、段々と体の輪郭が曖昧になり、ついに液体となった。私は慣れた手つきで猫をふわっと上に舞い上げ、猫もまた慣れたようにそのままふよふよ浮かんで私の顔の周りをぐるぐると回る。
しばらく漂うのを見届けたあと、私は目を見つめながら「お願い」と優しく微笑んだ。すると猫は私の目の前で止まり、目の前にあるキャンドルへと向かっていく。
ぽっ。と音が鳴って暖かい炎が灯った。
11/19/2024, 2:24:30 PM