いもばたけ

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「私」
放課後の薄暗い廊下を走っていた。ぽつぽつとしかついてない蛍光灯の下はぼんやりとしていて人の姿は大してなかった。階段を降りる音だけが響く。
好きだった。
その横顔も笑顔も仕草も、話し方から爪先に至るまで全部全部。
拭いきれない思いが涙と一緒に溢れて、私は階段の踊り場で止まった。相変わらず誰もいなくて、なのに人に見られたくない一心で涙を手で拭った。
電気のついていない教室で告白されていたのは確かに君だった。告白していたのは誰だろうか。すごく、可愛かった気がする。私なんか目じゃないほどに。
そうだ、君は格好いいのに、能天気で、それでいてモテるんだった。なんで忘れてたんだろう。
曇った窓ガラスに映った私は涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっていて
「ハハ…酷い顔」
と向こうで雨に打たれる私を笑ってやった。
         テーマ「窓越しに見えるのは」

7/1/2023, 5:04:35 PM