たくさんの思い出
人にはたくさんの思い出でがある。
あの子は小さく産まれたため保育器の中にいた。あの子を近くに感じたくて写真をたくさん撮ってリビングに飾っていた。
退院しても体が弱く、すぐに熱を出しては、緊急センターへ何度も通ったあの子も今年5歳になる。七五三だ。勇ましく羽織袴で神社のお参りすれば、父ちゃんがすかさずまわり込み写真に収める。この日のために買った一眼レフの出番だ。
小学校に上がる年、爺ちゃんがランドセルを買ってくれた。始めてのランドセルにあの子は満面の笑みだ。
カシャ。カシャ。
もちろん父ちゃんは写真を撮るのを忘れない。
夏休みになり始めて海水浴に行った。波を怖がり逃げてばかりいたが、父ちゃんに連れられ海に入ってしまえば、楽しそうに浮き輪でプカプカしていた。海から上がって来たところをパシャリ。
冬はイベントがめじろ押しで父ちゃんの一眼レフの出番も増える。クリスマスにお正月。楽しいことばかりだ。突然、父ちゃんが毎年12月31日に写真館で家族写真を撮ろうと言い出す。うん。でも3人で撮った写真はあまりないからいいかもしれない。
そして春がくる。
あの子が産まれてから30年が経ち、今日はあの子こ結婚式。あの子の写真を撮るのも今日で最後になるだろう。たくさんの思い出が詰まった古いアルバムをあの子に渡そう。
この古いアルバムは父ちゃんと母ちゃん、そしてあの子の、家族の愛の記録だ。
11/18/2024, 12:13:28 PM