月海月

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「いらっしゃいませ。…おや、あなたでしたか。」

「え?私…ここには初めて…」

「あぁ…すみません、人違いでした。」

「あの、ここに来れば、“幸せ”になれると…」

「ええ、では失礼しますね…」

施術が終わった客の背中を見送りながら
客の記憶を封印し手元で光を弱く放つランタンを棚に納める。

「あの方は…もう来られないでしょうね。」


数日後、町外れで魂が抜けたように虚脱する客の姿が見つかった


#記憶のランタン

11/18/2025, 12:49:27 PM