「七夕」
今日は七夕だ。天気は可もなく不可もない。
まあいずれにせよ、ここは夜でも明るいから天の川が見えた試しがないが。
「やあやあニンゲンくん!!!今日は七夕なんだね!!!七夕というのは、本来裁縫やお習字なんかの上達を願った行事らしいね!!!今も形を変えて残っているのは素晴らしい!!!」
へー。……七夕にしても、初詣にしても、なんか自分の欲深さというか、努力もせずに願いを叶えようとする怠慢なところが見えて、少しうんざりするんだよな。
「まあまあそんな否定的にならなくてもいいじゃないか!!!叶えたいことがあるならほんの小さなことから、ゆっくり始めたらいいのさ!!!」
「意気込めば意気込むほどに辛くなるから、あんまり深く考えなくたって良いのだよ!!!」
深く考えなくたって良い、か。
「それはそうと!!!キミのお願い事は何だい?!!ほら、短冊があるからこれに書きたまえ!!!」
「ついでに笹もあるよ!!!」「笹。まじかよ。」
いつの間にやら部屋に折り紙で飾られたデカい笹が置いてある。
「ほらほら、願い事は???」
そうだな。自分の願い事は───。
「ふむふむ……良い願いじゃないか!!!」
“毎日をもっと楽しく過ごせますように”
で、あんたはなんて書くんだ?
「ボクはねえ!!!ほら、見てよ!!!」
“大事な宇宙たちがずっと安定して存在しますように!”
「それから!!!」え?それから?
“キミともっと仲良くなります!”
「どうだい???良い願いだろう?!!」
そうだな。もっと仲良くなれるといいな。
「もー!!!」
「そうだ!!!七夕ゼリーを買ったことを忘れていたよ!!!もちろん、キミの分もあるよ!!!今から一緒に食べよう!!!」
七夕ゼリーか。懐かしいな。というか売ってるものなのか?
まあいいや。
ふたりで食べるゼリーは小さい頃食べた時よりもちょっと美味しかった。
こんなふうにずっと暮らせたらいいな。
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「前回までのあらすじ」
(番外編だから必要ないのだが、一応載せておくよ!!!)
ボクこと公認宇宙管理士:コードネーム「マッドサイエンティスト」はある日、自分の管轄下の宇宙が不自然に縮小している事を発見する!!!
そこで、急遽助手であるニンゲンくんの協力を得て、原因を探ることにした!!!お菓子を食べたりお花を見たりしながら、楽しく研究していたワケだ!!!
調査の結果、本来であればアーカイブとして専用の部署内に格納されているはずの旧型宇宙管理士が、その身に宇宙を吸収していることが判明した!!!
聞けば、宇宙管理に便利だと思って作った特殊空間内に何故かいた、構造色の髪を持つ少年に会いたくて宇宙ごと自分のものにしたくてそんな事をしたというじゃないか!!!
それを受けて、直感的に少年を保護・隔離した上で旧型管理士を「眠らせる」ことにした!!!悪気の有無はともかく、これ以上の被害を出さないためにもそうせざるを得なかったワケだ!!!
……と、一旦この事件が落ち着いたから、ボクはアーカイブを管理する部署に行って状況を確認することにした!!!
すると、驚くべきことに!!!ボクが旧型管理士を盗み出したことになっていることが発覚!!!さらに!!!アーカイブ化されたボクのきょうだいまでいなくなっていることがわかった!!!
ボクも色々と探しはしたものの、きょうだいはなかなか見つからない!!!そんなある日、ボクのきょうだいが発見されたと事件を捜査している部署から連絡が入った!!!
ボクらはその場所へと向かうが、なんとそこが旧型管理士の作った空間の内部であることがわかって驚きを隠せない!!!
しかも空間は大胆な加工済み!!!ボクのきょうだいは一体何を考えているんだ?!!
あとあだ名とはいえ名前を呼ぶのはやめたまえ!!!全員に名前を知られると相当困るのだよ!!!
……キミは忘れてしまったかもしれないが、ボク達は後に続く指示に「必ず」従うように作られているからね。
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昨日は七夕のコンサートに行って来ました。
同時に出店されていたドリンク屋さんとお菓子屋さんの食べ物と飲み物がとても美味しくて、そして演奏も素敵だったのでとても癒されました。
そんなつもりはまったくなかったのに、あっという間に時間が過ぎていってしまうので、この時間が終わってほしくないなぁとずっと思っていました。
アーティストの方の、「星は近くて遠い存在」という言葉が印象的でした。見えないけれど、手を伸ばしても届かないけれど、いつだってそばにいる。
そう思うと、ほんの少し心が温まる。
そんな気がしませんか?
7/8/2024, 3:58:28 AM