うも

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「傘の中の秘密」

授業が終わり、1階に降りてきてから朝は手に持っていたはずの傘がないことにやっと気がついた。

この土砂降りの中、取りに行かないという選択肢はどこにもなくて、人の波に逆らいながら階段を上っていく。

1番可能性が高いのはさっきまでいた教室なので、とりあえず向かう。
ドアを開けて傘を探していると『あれ、どうしたの?』と声をかけられる。傘に夢中で人がいることに気づいておらず驚きを隠しながら傘を忘れた旨を伝える。

よりによって、彼がいるなんて。もうとっくに帰ったと思ってた。こんなことならリップ塗り直してくればよかったと少し後悔する。

彼は、課題をしながら雨が落ち着くのを待っていたらしい。すると彼は無事傘を見つけた私に、でももう帰ろうかなと思っててと発言し、流れで一緒に帰ることになった。

別に付き合ってる訳ではないのでそれぞれの傘を差して歩く。

先程と変わらずすごい勢いで降っている雨のおかげで、沈黙が続いてもたいして気にならないし、お互いの顔がよく見えないため気軽に話すことができた。


お互いいつもより頬が赤いのは、傘の中の秘密である。

6/3/2025, 1:11:29 AM