#旅路の果てに
―――
彼奴の姿があった
煙草を吹かせながら
何食わぬ、何時も通りの顔で。
煙に混じり、ふわりと花弁も巻き込む風が
妙に冷たいと感じる
暫く見詰めていると、彼奴が俺に気が付いた
そうして、ふっと微笑むと
俺に手を差し出してきた
いつも通りの立ち姿
いつも通りの声色
俺は、そんな彼奴の手を―――
気持ち悪さに、目が覚めた
少し、息も上がっている
起き上がってみると、額から水滴が流れ落ちてきた
...嗚呼、まただ
また、あの悪夢を見た
もう何度、あの手を取ってしまっただろう
俺の中に居座る、偶像の手を
わかっているのだ
彼奴が、あんな顔を俺に向けるはずは無いと
しかし、それでも
もう、俺の知る彼奴に会える事はないから
俺はまた、彼奴の手を取ってしまうのだろう
繰り返して、しまうのだろう
布団から這い出る身体が
今日もまた重かった
1/31/2026, 11:01:17 AM