普段から人当たりが良くて、にこにこ笑顔を振りまきながら、次々と他人を魅了していくひと。
他人の懐に入り込むのは最早天性か、それでも自分の大事なところには簡単には入らせないよう、常に一線を引いているひと。
そんなひとに、気がつくと腕を組まれ、肩を組まれ、背後から腹に腕を巻きつけ抱きつかれ。
自分はもしや特別な存在なのか…?
「何難しい顔してるん?」
は、と気づくとその人が、座っている自分に膝枕をしこちらを見上げている。
「俺ってお前にとって、特別な存在?」
つい思ったままを口にすると
「そらそうやろ」
可愛らしい八重歯を覗かせながらあっさり言うから、そうか、特別か、と。
心の奥深くに、じんわりと明かりが灯った気がした。
【お題:特別な存在】
3/23/2024, 11:21:25 PM