毎年冬休みが始まる頃に明地は調子を崩す。始まりは明地が8歳だった冬に、5歳上の姉が死んだとき。姉が夢に出てくる。雪がしとしと降る中で姉は靴も履かずに立っている。姉は寒さで足を真っ赤にしながら、明地をただ見つめている。何を考えているか分からないから、明地は姉が苦手だった。だからろくに話もしなかった。生前のように夢の中で姉は言う。「かえりたい」死んでもなお、姉は帰れなかったのだと思う。それは惨くて、悲しい。
12/28/2024, 12:01:54 PM