SHADOW

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風に乗って

 どこからか、歌声が聞こえる。
風に乗って、俺が居る場所まで聞こえてきた。
俺はその声に恋をした。
透き通った綺麗な歌声。
俺はその歌声を頼りに、声の持ち主を探した。
学校や公園、ありとあらゆる場所で探した。
だけど、手がかりすら見つからなかった。
少し悔しかったのを覚えてる。

 とある日のことだ。
授業をサボって、屋上で昼寝をしていた。
そしたら、またあの歌声が聞こえてきた。
微かに聞こえるあの歌声。
俺は歌声が切れる前に、見つけないと思っていた。
どこだろう。そう思っていると、向かいの病院の屋上で、車椅子に座っている女の子が歌っていた。
多分これが俺の初恋だったんだろうな。
俺はその子と話がしてみたかった。
俺は次の日から行動を始めた。

 俺は何時もの通りに屋上に向かった。
病院の屋上に、あの子がいる事を確認して、カバンから紙とペンを取り出した。
そして紙に文字を書いて、その紙を紙飛行機の形にした。
俺は出来上がった紙飛行機を持ち、あの子がいる方に狙いを定め、あの子に届くように願いを込めて飛ばした。

 紙飛行機は風に乗って、あの子のいる場所に届いた。
紙飛行機は意思を持っていたように、あの子の足元に落ちた。
あの子は、紙飛行機を拾い開いていた。
あの子が紙を見ている時、俺は鼓動が止まらなかった。
あの子はクスクスと笑っていたけど、ポケットに入れてあったペンを取り出し紙に何かを書き込んで、丁寧に紙飛行に戻し、俺の方に飛ばした。
俺は急いで紙飛行機を拾い、開いてみた。
紙に書いてあった文字は…。

「貴方に惚れました。付き合ってください。」

『勿論。宜しくね。』

俺は小さくガッツポーズをとった。
向こうであの子は微笑んでいた。

4/30/2024, 8:11:14 AM