遊橙

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よかったと、心から安堵した。

私は身寄りのない子のために孤児院を開いた。
少しでもここが自分にとって帰ってきてもいい場所だと思ってくれるように。

ここにくる子は大体親がいないか、ひどいときは院の目の前に置き去りも珍しくなかった。

心は見えないが傷を負っている。少しでも癒しの場にと思って。

視線の先には最近院にやってきた幼子が、少年が行く先について行っている。幼子は捨てられた子だった。

子は一人でいいと、親の勝手な思想でここに預けられた。幼い子は誰も言っていないのに捨てられたと分かっていた。

が、心は受け入れることができず周りを拒絶し少しでも自分の心を守ろうとしていて。
孤児の子も、職員もほとほと困って。このままでは他の院に相談しなければならず、どうすればと日々思っていた。

ある朝、いつものように院の見回りをしていると、空き部屋に幼子と少年がいた。私は驚いた。あれだけ周りを拒絶していた幼子が少年の近くに座っていたのだ。

少年も院の中では変わり者であった。交通事故で親の記憶をなくし感情を上手く出すことができない子であった。迷惑をかけないようにと思っての事であろう、おとなしく本を読んだりと静かで。

一人でいることが落ち着くのか他の子と一緒にいることはない。一人ポツリとそこにいて。少し心配であった。

その少年と幼子が一緒にいる。驚きとともに安堵した。二人ともぎごちなかった。が、そこだけが温かく夢見る心地で暖かった。
邪魔しては悪いと私はそこを離れ、職員にもしばらくあのあたりを見回なくていいと伝えた。

お昼の時間に帰ってきた二人は自然と二人一緒に帰ってきた。


暖かい快晴のある日のこと

4/17/2024, 12:27:57 AM