アオハルとバスケ

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ガタンゴトン、小田急線の電車の音がこじんまりとした商店街に響き渡る。ここは私の最寄駅だ。こんなにレンガ作りの落ち着いた雰囲気なのに一駅先の終点駅に行くともう、そこはもう、私たちからしたらビルが立ち並ぶ大都会だ。今日は六月下旬、学校行事で鎌倉を訪れていた。今はその帰りの電車に乗っているところだ。ゆれゆらと揺れる電車の中、何十人もの人がこの密室で揺れている。その中には彼も…。そう、彼の名前は佐々木。天然紳士のクールイケメンで私のスキピだ。ただ、私たち、電車で揺れているだけなのに彼だけが一つの星のようにキラキラと光っているように見えた。まるで、私たち織姫と彦星みたい…。そんなことを考えてたらもう駅に着いた。夢みたいだった。また、彼と一緒に二人きりで帰れる時が来るとは思わなかった。雨と晴れ、冬と夏、前と後ろの違いはあるが、人が誰一人いないことには変わりない。たらりと垂れた汗を手で拭った瞬間彼が振り返った。そして目とまつ毛の間に目一杯の余白をあけ、とても驚いた顔をしていた。私、変なことしたか?そんなことを考えると彼と目線が合ってしまった。
バチっ💥
線香花火が散ったような音が鳴った。
彼はフイッとすぐに目線を逸らしてしまったが、その形の整った耳には少しだけ茜色が刺している気がした。
そして、あの時の情景がまた重なって見えた。
アオハルとバスケ
【過去のやつを見ると物語が繋がるように…🤩】

7/8/2025, 2:13:52 PM