届かない
二歳年上に片想いをするというのは、中学高校、同じところに行ったとしても一年しか重ならないし、相手は大抵受験という壁に立ち向かっているということだ。
僕はぼんやりそう思いながら、高校卒業を祝う一輪の花を持つ晶を眺めた。
「卒業おめでとう。早いね。」
「ありがとー、はぁ〜俺このブレザー超似合うし着れなくなるのやだな。」
「はは…確かに似合うけど。」
「怜は背また伸びた?」
「そう?かも。」
大学か。大学。どうしたらいいんだろう。高校でなら想いを届けられる自分になるのかなと、思ったんだけど。それも出来なかったのに、また同じ大学を選ぶのか。
「ま〜、引っ越しはするけどそんな遠くないし。すぐ帰ってくるよ。」
「…うん。」
晶の手で花がくるくる回る。赤い色が遠い。隣にいるのにぽつんと独りきりのような感覚は涙すら出ないほどだった。
4/16/2024, 6:43:41 AM